アントシアニンの摂取量が多いほど、主要な心血管代謝疾患のリスクが低下
2026.09.08
【最新研究】
アントシアニンの摂取量が多いほど、主要な心血管代謝疾患のリスクが低下
―健康な人を対象とした初のメタ分析で明らかに―
特定の食品においては、含有するビタミンやミネラルだけでなく、そこに含まれる生理活性成分の重要性を示すエビデンスが蓄積されつつあります。一般的なビタミンやミネラルが、人間が生きていくための基礎的な栄養ニーズを満たすものであるのに対し、生理活性成分とは食品や栄養補助食品に含まれる機能性成分であり、健康状態の維持や改善に役立つと考えられています1。
生理活性成分のひとつに、アントシアニンがあります。これは、一部の果物や野菜に赤、紫、青の色を与えるポリフェノールの一種です。特にベリー類は果物の中でも豊富な供給源であり、ブルーベリーは一般的に食べられているベリー類の中で最も多くのアントシアニンを含んでいます。アントシアニンは、抗炎症作用に加え、心血管機能のサポートなど、健康への良い影響について研究されてきました2。
これまでのメタ分析により、疾患を有する人々を含む多様な集団において、アントシアニンが心血管代謝に有益な効果をもたらすことは示唆されていますが、健康な人における有効性については、十分に明らかになっていませんでした。そこで、タフツ大学メディカルセンター、イースト・アングリア大学ノリッジメディカルスクール、クイーンズ大学による共同研究チームが、健康な人を対象とした前向きコホート研究、およびランダム化比較試験に関する初めてのシステマティックレビューとメタ分析を実施し、健康な人におけるアントシアニンの効果を検証しました。その結果は、 関連する論説と共にAmerican Journal of Clinical Nutrition誌に掲載されました。Dietary intakes of anthocyanins and cardiometabolic health: a systematic review and meta-analysis of randomized trials and prospective cohort studies in healthy participants - The American Journal of Clinical Nutrition
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研究概要
研究チームは、アントシアニン摂取量と心血管疾患リスクおよび心血管代謝の健康指標(バイオマーカー)との関連性について発表された1946年から2024年9月までの科学論文を対象に、アントシアニンと心血管代謝の健康に関するデータを評価しました。論文の特定には、PubMed、Cochrane Central、Commonwealth Agricultural Bureau、Web of Scienceの各データベースを使用しました。
27本の論文に掲載された18件の前向きコホート研究(対象者数:1,063人~369,827人、年齢:18歳以上)を分析した結果、アントシアニンの摂取量が多いほど、心血管疾患、心筋梗塞(いわゆる心臓発作)、高血圧、および2型糖尿病(T2D)のリスクが低下することが明らかになりました。
アントシアニン摂取と心血管代謝バイオマーカーの改善
研究チームは65件のランダム化比較試験( 対象者数40〜130人、18歳以上)も分析しました。注目すべき点は、このランダム化比較試験の分析では、健康な人において1日あたり50mgという低用量のアントシアニンを摂取することによって、動脈硬化(動脈内へのプラークの蓄積)やメタボリックシンドロームに関連するバイオマーカー(血圧上昇、中性脂肪の高値、HDLコレステロールの低値、空腹時血糖値の上昇、腹囲の増加)を改善することが明らかになりました。1日あたり50mgのアントシアニンとは、約1/3カップのブルーベリーに含まれる量に相当し、日常の生活でも十分に摂取可能な量です(一般的な1食分は1カップ)3。
「この研究は、シンプルで実現可能な食生活の改善が、心臓病や2型糖尿病のリスク低減に大きな効果をもたらす可能性を示唆しています」と、北アイルランド・ベルファストにあるクイーンズ大学の栄養・予防医学講座長であり、持続可能な食料システム共同研究センター(Co-Centre for Sustainable Food Systems)の共同ディレクターを務める、本研究の主任研究者であるエイディン・キャシディ博士は述べています。
キャシディ教授によると、「質の高い集団ベースの研究とランダム化比較試験から得られたデータを統合・分析した結果、アントシアニンの習慣的な摂取量が多いほど、心血管疾患、高血圧、2型糖尿病などの発症リスクの低下と関連していることが示唆されました。これらの有益性は、ランダム化比較試験のデータによって裏付けられており、1日50mgという低用量のアントシアニン摂取であっても、健康な人の心血管代謝バイオマーカーが改善されることを示しています」
さらに、「ランダム化比較試験のデータを統合・分析した結果、今回の研究では血流、動脈の弾力性、インスリン値において、臨床的に意義のある改善が認められました。これらの改善は、長期的な健康維持につながる可能性があります。今回の知見が、アントシアニンに関する既存および今後の研究の発展に貢献し、ヒトの健康におけるアントシアニンの役割についての理解をさらに深めることを期待しています」とも述べています。
今後の研究の方向性について
今後の研究では、より大規模で長期間にわたる試験が求められます。さらに、コホート研究におけるバイオマーカーに基づくアントシアニン摂取量の評価や、ランダム化比較試験における用量反応関係(摂取量と効果の関係)の検討も必要です。
今回の研究結果は、健康な人において、アントシアニンが心血管代謝の健康維持や、疾患リスクを示すバイオマーカーの改善に重要な役割を果たす可能性を示しています。これらの知見は、ベリー類などの食品に含まれるアントシアニンが心血管の健康に及ぼす影響に関する研究をさらに発展させるとともに、この分野におけるエビデンスの蓄積を一層強化するものです。
本研究の研究デザイン、データ収集、データ解析、データ解釈、および研究論文の執筆には、USハイブッシュブルーベリー協会(USHBC)は関与していません。ブルーベリーの栄養に関する研究の詳細については、https://healthprofessionals.blueberry.org/researchをご覧ください。
出典:
- NIH, Office of Dietary Supplements. Federal Register Vol. 69 No. 179FR Dec 04–20892, Sept. 16, 2004 [cited 10/6/19]. Available from: ods.od.nih/gov/Research/Bioactive_Food_Components_Initiative.aspx.
- Curtis PJ, van der Velpen V, Berends L, et al. Blueberries improve biomarkers of cardiometabolic function in participants with metabolic syndrome-results from a 6-month, double-blind, randomized controlled trial. Am J Clin Nutr. 2019;109(6):1535-1545. doi:10.1093/ajcn/nqy380
- S. Department of Agriculture, Agricultural Research Service. FoodData Central, 2026. https://fdc.nal.usda.gov/food-details/2346411/nutrients
83件の研究を分析して判明した、ベリーをもっと食べたい新たな理由
最新研究で、天然の植物由来成分が長期的な心臓の健康をサポートする可能性が明らかになりました。
ステイシー・リースカ
FOOD & WINE (2026年7月31日)
キーポイント
- 新たな系統的レビューとメタ分析によると、アントシアニンの摂取量が最も多い人は、摂取量が最も少ない人に比べて、心血管疾患、心臓発作、2型糖尿病、高血圧のリスクが低いことが明らかになりました。
- ランダム化比較試験の結果、アントシアニンを豊富に含む食品を摂取することで、健康な成人の血管機能が改善し、空腹時インスリン値が低下することが示されました。
- 1日わずか50ミリグラムのアントシアニン摂取でも、一部の心血管系・代謝系の指標に改善が認められました。ただし、その摂取量ですべての指標が改善したわけではありません。
毎朝ヨーグルトやスムージーにひとつかみのブルーベリーを加える習慣は、あなたが思っている以上に心臓の健康に良い影響を与えているかもしれません。
7月、タフツ大学メディカルセンター、イースト・アングリア大学ノリッジメディカルスクール、クイーンズ大学ベルファスト校による共同研究チームは、新たなシステマティックレビューとメタ分析の結果を発表しました。この研究では、ブルーベリー、サクランボ、赤(紫)キャベツなどに含まれている色素成分、アントシアニンの摂取量が多い人ほど、心血管疾患と2型糖尿病のリスクが低いことが明らかになりました。
American Journal of Clinical Nutritionに掲載されたこの研究は、すでに心臓病や糖尿病を患っている人を対象とするのではなく、健康な人を対象とした長期的な人口データとランダム化比較試験を組み合わせた初めてのレビューです。
アントシアニンが心臓の健康にどのような影響を与えるのかを明らかにするため、研究者たちは18件のコホート研究のデータを統合しました。その結果、アントシアニンの摂取量が最も多い人は、摂取量が最も少ない人に比べて、心血管疾患のリスクが26%、心臓発作のリスクが18%、2型糖尿病のリスクが11%、高血圧のリスクが8%低いことが分かりました。
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さらに研究チームはこのような好ましい結果が得られる理由を明らかにするために、データ収集および65件のランダム化比較試験を分析しました。その結果、アントシアニンを豊富に含む食品をより多く摂取すると、食後すぐだけでなく、数週間にわたって継続的に摂取した場合にも、血管の拡張と弛緩の度合いを示す指標である「血流依存性血管拡張反応(FMD)」が改善されることが分かりました。また、アントシアニンの摂取によって空腹時インスリン値が低下することも確認されました。
「今回の研究は、実践しやすいシンプルな食生活の改善が、心臓病や2型糖尿病のリスク低減に大きな効果をもたらす可能性を示しています」と、主任研究者であり、クイーンズ大学ベルファスト校の栄養学・予防医学の教授を務めるエイディン・キャシディ氏は声明の中で述べています。
特に注目すべき点は、効果が見られたアントシアニンの1日摂取量が、決して極端に多い量ではなかったということです。研究チームは、食事だけでも十分に摂取可能な1日50ミリグラムという少量でも、改善が見られることを見出しました。実際、ブルーベリー1カップには、アントシアニンだけで約150~160ミリグラムが含まれています。ただし、この摂取量で全ての指標が改善したわけではなく、論文の中で明確な用量反応関係が示されたわけではないことにも注意が必要です。
なお、この研究は、米国農務省(USDA)の監督下にある、USハイブッシュブルーベリー協会(US Highbush Blueberry Council)の資金提供を受けて実施されました。ただし、同協会は研究結果の監督には関与していないとのことです。またアントシアニンはブルーベリーだけでなく、ブラックベリー、サクランボ、ザクロ、紫ジャガイモ、紫キャベツなどにも豊富に含まれています。
アントシアニンを豊富に含む食品
アントシアニンは、多くの果物や野菜に濃い青、紫、赤の色合いを与えている天然の植物由来色素化合物です。ブルーベリーは代表的な供給源の一つですが、こうした色鮮やかな成分を食生活に取り入れる方法は、ブルーベリーだけではありません。アントシアニンを豊富に含む食品には、次のようなものがあります。
- ブルーベリー:ヨーグルト、オートミールやシリアルなどに。
- ブラックベリー:フルーツサラダや牛乳や豆乳、ヨーグルトに一晩浸して柔らかくした加熱不要の朝食メニュー・オーバーナイトオーツに。
- ブラックラズベリー:ヨーグルトやスムージーやパンケーキに。
- サクランボ:フレッシュなものはそのまま、またはサラダに。冷凍サクランボはオートミールに。
- ブラックカラント(クロスグリ):冷凍商品はスムージーに、乾燥商品はトレイルミックスに。
- 赤や紫のブドウ:そのまま、またはデザートやサラダに。
- 赤キャベツ:タコス、サンドイッチ、コールスローやローストキャベツに。
- 紫キャベツ:炒め物やサラダ、玄米やキヌアと合わせたグレインボウルに。
- 紫ジャガイモ:ローストポテト、マッシュポテトやポテトサラダに。
- 紫サツマイモ:ローストポテトやマッシュポテトに。
- ナス:アントシアニンは皮に多く含まれているため、皮を残したままローストや炒め物に。
- ブラッドオレンジ:そのまままたはサラダや果汁を使ったドリンクやドレッシングに。
ベリー類や、その他のアントシアニンを豊富に含む食品が健康に良い可能性を示す研究は、今回が初めてではありません。Food & Wineが2025年に報じた、85,000人以上を対象とした24年間の大規模研究では、お茶、赤ワイン、リンゴ、ブルーベリー、オレンジなどからフラボノイドを最も多く摂取した人ほど、より健康的に年齢を重ねていることが分かりました。また、1月に発表された別の科学的レビューでは、野生のブルーベリーを定期的に摂取することで、心血管・代謝面の健康を大幅にサポートできる可能性が示されています。Food & Wineが栄養士に健康に良いベリーについて尋ねたところ、ブルーベリーが1位に選ばれました。そして今回の新しい研究も、これまでの研究結果を裏付けるものとなっています。
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「今回の研究では、複数の試験データを統合した結果、血流、動脈の弾力性、インスリン値に臨床的に意義のある改善が確認されました。これらの改善は長期的な健康上の大きなメリットにつながる可能性があります」と、キャシディ氏は付け加えています。「今回の研究結果が、アントシアニンに関する既存の研究、そして今後の研究に貢献し、人の健康におけるアントシアニンの潜在的な役割について、さらに理解を深めることにつながれば、と考えています。」
レビュー担当者:
ローレン・マナカー(理学修士、登録栄養士、認定栄養士、認定臨床栄養士):3冊の著書、22年以上の経験と受賞歴を持つ登録栄養士です。